連載「相場のこころ トレードの本質」その1

悪循環を断ち切る唯一のアイデア
 
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書籍『中源線建玉法』の記述を引用します。
 
あるニュースをきっかけに、A株が暴騰必至、大化けの可能性ありとみて買う。しかしA株の動きは期待に反し、仕方なく「塩漬け」にする。
次のニュースでB株を買う、そしてC株……と次第に持ち株は増加する。
資金いっぱいになったあとは、引かされ幅の少ない銘柄を処分して新しい銘柄を買う。次第に騰がってきた銘柄はある程度の利益をみて売るが、売ったあとで暴騰することになる。
常に引かされた銘柄ばかりを持ち、市況好転の際いちばん早く時流に乗る「引かされ幅の少ない銘柄」を適当な利幅で売る、つまり当初に期待した「大化け」が現実に始まったところで売ってしまうのだ。
時流に乗る株を手放し、沈みゆく株を手持ちに繰り入れるというような、「手持ち株の悪化」のための努力を続けて一生を終わる。
信用取引を利用していたり商品相場を行っている場合は、以上の経過が短期間にあらわれ、“泥棒に追い銭”のごとき増し玉が加わる。
こういう投資態度は、売買法を観念的なものだと考えているアマチュアに共通し、個々の人の性質によって多少の偏りはあるものの、例外はあまりない。だから、ここから抜け出すだけで、もう初段の腕前といえるのだ。
ヘボ将棋でも面白ければよいが、相場においては、それではいけない。
(新版『中源線建玉法』、「第一部 解説」より)
 
例えば10銘柄を同時に仕込めば、その後の動きは、強張る銘柄と弱含みの銘柄に二分されます。強張る銘柄は小幅の利益で利益確定でサヨナラ、これに対して、弱含みの銘柄は維持。さらに弱くなると「まずいな……」となり、もっと下げると、ブルーな気分で逆に買い増ししてしまう……。
 
真逆の対応、つまり弱い銘柄はとっとと見切りをつけ、強い銘柄に乗せるのが正解だと考えつつも、ついやってしまう、“相場あるある”だと思います。
 
株価が天井に近づくほど「これはいい」という安心感が生まれ、安値で這いつくばって上昇が近づいているのに「ダメだよなぁ」と考えてしまうのが市場参加者の自然な心理です。そして、上手下手や経験値に関係なく、同じように感じるでしょう。
 
しかし、儲けるためには行動を逆の方向に向ける必要があります。
そこで「頑張って、気持ちとは逆の対応をしよう」という発想もありますが、そんなムリは1回か2回できれば御の字で、決して長続きしません。
 
引用に「売買法」というキーワードがありました。
悪循環を断ち切るには、これしかありません。
 
呼び方は、「手法」でも「トレード法」でも「やり方」でも、何でもOKです。
具体的な取り組み方、つまり、予測法、それに沿った建玉法(ポジション操作)、全体のバランスを取るための資金管理、これら3つを体系立てた「方法論」です。
 
「どの銘柄が上がるの?」とか「何を買えばいいの?」という“正解さがし”ではなく、「どんな方法で継続的にポジション操作するのが自分に合っているか」と考えるのが、本当の意味での正解なのです。
 
(林 知之)