連載「相場のこころ トレードの本質」その3

仕掛けるときの3つの方法

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書籍『中源線建玉法』に、「技法とは何を指すか」という説明があり、「仕掛けから手仕舞いまでを一貫しなければならない」と強調しています。
 
トレードを、日常生活の消費活動と一緒にしてしまうと、「株を買って終わり」といった感覚に陥ります。トレードは「現金を殖やす行為」なので、買ったら売り手仕舞い、カラ売りを仕掛けたら買い手仕舞いすることが絶対なのです。例えば登山で、頂上を目指すことだけを考えて下山を無視するようでは、登山という行為が成立しないのと同じです。
 
しかし、出発点の「仕掛け」だけを取り上げて考えることも大切です。
 
書籍『中源線建玉法』から、仕掛けに関する一般論を引用します。
ここでは、3つの方法に分類して説明しています。
  1. ためし玉から出発する方法──ためしに買って(売って)みて、波に乗れると見極めてから本玉(ほんぎょく)を入れる
  2. サヤ取りの建て玉から出発する方法──株はコストダウンのやり方、商品なら〔期近(期中)買いの期先売り〕の建て玉から波に乗る
  3. 規格化された出発点を決める方法──指数、ケイ線などの分析による統計上の確率を信頼して出発点を決め、そのあと波に乗る
(『新版 中源線建玉法』第一部 解説より)
 
この分類が唯一の正解ということではありませんが、おもしろい観点だと思います。それぞれについて説明しましょう。
 
○試し玉から出発する方法
いきなり予定の数量を建てると、「成功してくれないと困る」とばかりに目がくもったり意地になったりするので、分割で少しずつ増やすようにします。「ダメかも……」と感じた場合でも、数量が少ないうちなら素直に損切りしやすいわけです。いわゆる、分割によるポジション操作です。
 
○サヤ取りの建玉から出発する方法
わかりにくいのですが、「両建てによる試し玉」というところでしょうか。例えば、割高な限月を売り、割安な限月を買って両建てをつくり、それをきっかけに片張りの本玉をつくっていく、という入り方です。
 
○規格化された出発点を決める方法
中源線の陰陽転換はもちろん、ほかにもいろいろとあります。保合放れを狙って順張りで乗る「ブレイクアウト」、悪材料でストップ安連続の銘柄があったら売り買いの数量がそろって値がついた段階で買い出動という「イベントドリブン投資」などなど。
 
「この分類が唯一の正解ではない」と述べたように、自分自身の感覚で分類したり、整理したり、自由に考えていけばいいのです。ポイントは、「売った買った」「儲かった損した」から離れて、時には理屈に偏って考えてみることです。
 
「売買法」「技法」といった観点が明確に浮かび上がりますし、自分の好みや得意不得意を考える機会も生まれます。
 
私たちは、個人投資家の「自由」を最大限に利用すべきです。自由に、感じたままに、自らの感性を信じて「えいやっ!」と自然体で行動したいのです。しかし、逸脱した遊びになってはダメで、適正な遊び、範囲を超えない遊びが求められます。
その遊び場を設定するのが、こういった別観点での思考なのだと思います。
 
(林 知之)